「ワイズマンを見る/アメリカを観る」特集上映にて。アメリカの現代社会を撮り続けて来たドキュメンタリー作家、フレデリック・ワイズマンによる作品。1967年製作だが、合衆国裁判所で一般上映が禁止され、1991年にようやく許可された。精神異常犯罪者を収容する州立刑務所マサチューセッツ矯正院の内部を撮影した作品となる。
 ワイズマンの作品を見るのは始めてなのだが、撮影対象への視線が非常に冷静だと思う。ドキュメンタリー作家には、対象に近寄っていくタイプと距離をおくタイプがいると思うのだが、ワイズマンは明らかに後者。撮影対象をおもしろがっている(バカにしているという意味ではなく、興味を持っているという意味)が、共感は感じられない。しばしば「現代社会の観察者」と言われるのは、この視線のありかたを指しているというのはよくわかる。
 精神異常犯罪者を収容した刑務所、というと、カメラは主に収容者に向けられると思いがちだが、刑務所に勤務している職員や医師、カウンセラー、ソーシャルワーカーらにもカメラは向けられる。そしてむしろ、収容者以外の人たちの方が面白い。多分、ワイズマンもそう思って撮っている、と言うよりも面白いと思ったから、面白く見えるように恣意的に編集しているのだと思う。特に刑務所所長にかんしてはそのくらいキャラがたっていておかしい。
 冒頭、所内のパーティーで披露されたらしい収容者と職員(多分)によるレビューが映し出されるのだが、見ているうちに、どうも所長がミュージカル、レビュー好きらしい、本人も歌が結構うまくて頻繁に披露しているらしいというのがわかってくる。そしてお前か!お前がやりたかったんかー!という突っ込みをさそわずにはいられないオチ。ワイズマンは絶対、そういうツッコミをさそうように編集しているので、ある意味悪意があるよなと思った。