デイヴィッド・ピリー著、日暮雅道訳
まだ医者だった若きコナン・ドイルと、その師匠であるベル博士が怪事件に挑む。ホームズのモデルはベル博士で、ドイルが実際に直面した事件が小説のネタになっている、という設定のホームズパスティーシュ小説。パスティーシュとしてはかなり手が込んでいると思う。元本のホームズシリーズから、これはあの短編、これはあの短編からだなとわかるようなネタがふんだんに盛り込んでいておなかいっぱいになる。また、ホームズは実際に身近にいたら面倒くさいし勘にさわる奴だと思うのだが、ドイルがベル博士のことを当初は「正直いって苦手・・・」と思っているあたり、くすぐりがこまかい。ホームズシリーズを読破していることが読者の条件になってしまうが、未読の人はわざわざ本作を手にとらないだろうから、問題ないか。ただ、構成に難あり。既に作家となり、ある問題に直面したドイルが過去を回想するという構成なのだが、回想内の時間が結構頻繁に飛ぶので混乱する。また、最初からシリーズものにするつもりだったらしく、本作内では回収されない伏線らしきものや思わせぶりな記述が多く、イライラする。だって続きが翻訳されるほど面白い(売れた)とは思えないんだもん・・・。