アーネスト・ヘミングウェイ著、谷口陸男訳
岩波文庫版で読んだ。第一次大戦のイタリア戦線に出向中のアメリカ人中尉・ヘンリーは、イギリス人看護師バークレイと恋に落ちる。もっと「戦争小説」的に深刻なのかと思っていたら、そうでもない。戦時下なので戦場の描写はもちろん出てくるのだが、文体が簡潔かつドライだからかさほど陰惨な感じではない。むしろ、青春小説と見たほうがいいのだろう。社会的には深刻な状況なのに、男性も女性も現実を回避するかのようにどこかふわふわしているし、悲壮感も薄い。戦時下だろうが何だろうが若者は若者なのだ。アメリカ人とイギリス人のカップルなので、イタリアの戦況は他人事になってしまうのかもしれないが。もっとも、アメリカの新聞は読むと落ち込むので読みたくないという件も出てくる。状況がきつすぎる反動で軽い振る舞いになっているともとれるか・・・そこはかとなくなげやりな感じも。そのせいか、ラストからすると悲恋のはずなのにあんまり悲恋に見えないんだよなー。ヘミングウェイ作品はどちらかというと短編の方がいいかなと思う。