角田光代著
日常に潜む、薄暗さ、不穏さを描くとやたらとうまい角田光代。著者が描く人間の負の部分は、強烈に悪!とか暗黒!というのではなく、うっすらと暗いので、ともすると見落としてしまいそうになるようなものだと思う。そこをいちいち拾っていく著者の気力はすごいなとつくづく思う。本作は連作短編集。どの話にも、同じような特徴をもった若い女性が(主人公ではなく背景として)出てくる。この女性が、主人公の澱んだ感情を自覚させるのだ。全編に不吉な雰囲気が漂うが、良くも悪くも日常の強固さみたいなものも感じた。ともあれ日常は続けようと思えば続く、ということか。