世界制服をもくろむ悪の組織コブラは、NATOからウイルス兵器ナノマイトを奪う。それに対抗するのは国際機密部隊G.I.ジョー。監督は『ハムナプトラ』のスティーヴン・ソマーズ。
 G.I.ジョーってミリタリー玩具だったけ?くらいの知識しかないのだが、予告編ではミリタリーの片鱗も見えなかった。普通のアクション映画である。『トランスフォーマー』の技術チームが参加しているそうで、やたらと回転しつつすっ飛ぶスローモーション映像には「トランスフォーマー」と似通った雰囲気がある。
 「トランスフォーマー」が変身ロボットものをハリウッドが本気で実写化!だとすると、本作はヒーロー戦隊ものを本気で実写化か。しかし映画としての面白さはトランスフォーマーに大きく水をあけられた感じ。衣装にしろ武器にしろ、デザインの練りこみがいまひとつ。なんとなく野暮ったくてぱっとしない。それが余計にヒーロー戦隊ぽさを増している。特撮ぽいチープさに徹すれば、それはそれで面白いと思うのだが、本作はそういう方向性じゃないっぽいんだよな・・・。リアル路線を狙うなら、監督はソマーズじゃないほうがよかったかもしれない。ソマーズの持ち味は「マンガっぽい」ところだと思う(「ハムナプトラ」の楽しさはマンガ映画の楽しさだったと思う)。結構な大作なのに、なんだかなー感が前編に漂う。
 さて、ヒーロー戦隊ものぽいと前述したが、本作は戦隊ものとしても失敗している。各キャラクターが立っておらず、魅力に乏しいのだ。一応それぞれの得意分野とか必殺技的なものは持っているのだが、どういう人柄、どういう好みなのかもっと見せて欲しかった。演じる俳優もいまひとつぱっとせず、わりと地味。特にヒロイン2人が妙に渋い(笑)。唯一、それなりに華があったのが韓国から出張中のイ・ビョンホン。白ニンジャ装束でがんばっていた。また、機密「部隊」だからチーム行動なはずなのに、隊員それぞれが勝手に動いているように見える。作戦らしい作戦てないんじゃ・・・。
 何が辛いって、予告編に全ての見所が出尽くしているところだ。あれは映画中盤の映像なのだが、終盤になってもあれ以上にビジュアル的に盛り上がるものがない。久しぶりに目にした「なんちゃってジャパン」の映像はちょっと面白い(というか最早懐かしい)けど。とくに前半と終盤がすごく眠かったわ・・・。続編作る気満々の終わり方なのだが、果たして作れるのか?作っても集客できるのか?少なくとも日本では厳しそうだ。