凄腕ドライバーの運び屋、フランク・マーティン(ジェイスン・ステイサム)の家に、知人のマルコムが運転する車が突っ込んできた。救急車を呼びマルコムを運び出そうとするフランクを、同乗していた女・ヴァレンティーナは制止しようとする。そして救急車にマルコムが運び出された途端に爆発が。彼とヴァレンティーナは車から20メートル以上離れると爆発する装置のついた腕輪を付けさせられていたのだ。そしてヴァレンティーナを助けようとしたフランクも何者かに襲われ、気がつくと彼女と同じ腕輪をはめられていた。
 このシリーズをちゃんと見るのは初めてなのだが、すごいドライバーが車で何か運ぶ、というところだけ踏まえていればOKらしい。しかし少なくとも今回は、犯人側にとってわざわざこの「品物」を運ぶ必要があるとは思えない、そもそもここまで大がかりな犯罪にするほどのメリットはあるのか?というところが気になった。何もそんな面倒臭いことやらなくても・・・。そして「車から20メートル以上離れられない」というルールも、あまり役に立っているとは思えない。車ごと逃げ切られれば犯人側にとっては意味がないし、アクション映画としての展開上も、このルールによって面白くなっているかというと、残念ながらそれほどでもないからだ(車での湖ダイブ、電車へのダイブ等は見せ場なのだろうが、このルールがなくても成立する)。もうちょっと設定の部分を頑張ってもよかったのになぁ。
 もともと大味なシリーズなんだろうなとは思ったが、ちょっと大味すぎた。何より、肝心のカーチェイスシーンがあまり印象に残らない。前2作でネタが出尽くしたか?今回はカーチェイスというよりも、相手の包囲網から逃げるという側面の方が強かったように思った。また、シーンの転換にしろセリフの間合にしろ、どうもテンポが悪くてもたつく。前半眠くてしょうがなかった。車でぶっとばす映画だからスピード感がないといけないはずなのに、そのへんがいまひとつ。主演のステイサムがだんだんかわいそうになってきた。
 ステイサム自体は生身のアクション(上着を使った格闘技はお約束なの?2でも披露していたような気が)もこなし、ヴァレンティーナに要求されてやけっぱちなストリップもこなしと、結構がんばっている。嫌いな役者ではないので(『バンク・ジョブ』で見直した)、もうちょっと出演作に恵まれてもなぁという気はする。水の中から車ごと引き上げられるシーンなんてかわいいのに・・・。
 脚本がまずいといえば、フランクとヴァレンティーナの間にいきなり愛が芽生えているのには納得いかない。つり橋効果にもほどがある!私がフラグを見落としたのか?!せめてもうちょっと恋愛フラグが立ちそうな伏線をにおわせておいて。