二浪して京都大学に入学した安部(山田孝之)は、青竜会なる「普通の」サークルの勧誘を受けコンパに参加する。同じくコンパに参加していた早良京子(芦名星)に一目ぼれした安部は、彼女目当てで入会。しかし青竜会とは、他大学と対抗でホルモーなる謎の競技を行うサークルだった。
 万城目学の原作小説は未読なのだが、本作を見た限りでは、映画よりも連続ドラマに向いている作品なんじゃないかなという印象(『鹿男あをによし』がドラマ化だったのは正解だったのか。しかしそのせいで他作品の連ドラ化がやりにくくなっちゃった?)を受けた。毎週ちょっとづつ見るのが楽しいタイプの作品なんじゃないかと。映画としては、そこそこ楽しいけれどちんまりまとまっていて少々物足りない。
 一番物足りなかったのは、最大の見せ所であろう「ホルモー」合戦が、見ていていまひとつ面白くないところ。ホルモーとは、各人が子鬼(式神)の軍団を操作して戦わせる競技なのだが、鬼使いの動きの奇妙さで面白さのレベルが止まってしまい、おそらくより面白さがあったのだろう、鬼の布陣や軍隊としての動かし方の妙までは配慮されていなかったように思う。原作でこの戦い方がどの程度描かれているのかはわからないが、ビジュアルとしては「変なポーズをしている人の足元でちっこいのがわらわらしている」だけなので、試合している感じがしない。なので、敵の鬼に攻められて鬼使いがしどろもどろになる、というシーンでも、自分の体が攻撃されているわけでもないのに何でそんなにテンパるの?と思ってしまう。鬼使いの当事者性がいまひとつ伝わってこないのだ。CGアニメーションの子鬼たちはもうちょっとリアル寄りでもよかったと思う(きもちわるいかな?)が、コミカルで楽しい。ただ、個々の表情というより、全体的に布陣がどう動くかというところで見たかった。子鬼がどつき合ってるのを見せられてもあんまり・・・。
 キャスティングは無難。主演の山田はイケメン役の時はそれなりにイケメンに見え、本作のようなダサ男の時はそれなりにダサく見えるところがえらい。『クローズZEROⅡ』の感想でも書いたが、声が良く、セリフが聞き取りやすいところは美点だと思う。部長役の荒川良々、安部の友人役の濱田岳は有る意味飛び道具的起用なのでクレームのつけようがない。荒川なんて出オチだよなこれ・・・。安部のあこがれの女性である芦名が、マドンナかつ小悪魔娘にしては微妙なルックスではないか?という声を聞いたが、これは監督の計算のうちだろう。安部のように女性慣れしていない男子には、このくらいの女子がわかりやすく魅力的に見えるであろうという。フェミニン寄りだが若干微妙なファッションセンスも含め。そもそも真性美女だったら、こすっからい計略練る必要なんかないわけです。「ぼんちゃん」ヅラとメガネとダサい服着用にも関わらず明らかに美人な栗山千明も、山田の男子力が低くて彼女の魅力に気づかない、というわけなのだろう。