ジャック・ドゥミ脚本・監督、ミシェル・ルグラン作曲、カトリーヌ・ドヌーブ主演という『シェルブールの雨傘』と同じ組み合わせによる、1966年制作のミュージカル。
 お祭りの準備に浮き立つ、海辺の町ロシュフォール。美人双子のソランジュ(フランソワーズ・ドルレアク)とデルフィーヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)、双子の母親であるカフェのマダム・イボンヌ(ダニエル・ダリュー)、絵描きを志す水兵のマクザンス、旅の曲芸士エチアンヌとビル、楽器店主のダーヌらが織り成す恋愛模様。
 ミュージカルというよりも音楽劇という感じだった『シェルブール~』に対し、本作は歌って踊る、いわゆるハリウッド的なミュージカル。華やかで楽しい。音楽は軽快なものが多く、個人的には『シェルブール~』より好みだった。踊れる曲はやっぱり楽しくていいです。対して、ドラマの方は散漫でさほど面白みはない。とにかく全てのカップルを成立させるぜ!という、ある意味筋の通ったストーリーなので、この人とこの人を処理したら次はこの人とこの人を~というように、大変くどくどしい。そんなにエピソードひっぱらなくても・・・と思ったところも。特にデルフィーヌとマクザンスに立ったフラグが処理されるまでが長い長い!そこまでやるかー!また、カフェの常連となった年配紳士の正体など、妙なエピソードも挿入されていて、あまりまとまりのいい作品ではない。パステルカラー基調で画面は華やかだし音楽は楽しいのだが、密度の濃い楽しさではなく、ユルく楽しい映画だった。作っている方も、ビジュアル以外にはあんまりこだわらずに楽しんで作ったんじゃないかなーという気がする(ぜんぜんそんなことないかもしれませんが!)
 歌って踊るミュージカルではあるのだが、正直、歌も踊りもすごく整っているという感じではなかった。ハリウッド(特に近年の)エンターテイメント魂を見ちゃうと、物足りないと言えば物足りない。ジーン・ケリーが踊りだすとそれが際立つ皮肉。双方にとってあまり幸せな共演じゃなかったんじゃないかなと思う(ジーン・ケリー自身はすごくチャーミングだと思うが)。
 特にドヌーブって、決して歌や踊りが上手い人ってわけじゃないんだよなぁ・・・。そして本作のドヌーブは主演扱いではあるのだが、彼女が最も美しく撮れている作品かというと、そうでもないだろう。むしろ、髪型のせいで頭でっかちに見えるし、メイクもメリハリがありすぎてちょっと怖い(笑)。少なくとも男性ウケはしないと思う。
 ところで『シェルブール~』にしろ本作にしろ、父親の存在が非常に希薄(というかない)なのが不思議だった。大人の男の存在感があんまりないのよ。ラブストーリーを円滑にすすめるためなのか、監督の手癖なのかちょっと気になる。あと、どちらも戦争(国内ではないにしろ)が背景にあるのも気になりました。映画は美しく華やかなだけに。