三木笙子著
時は明治。心優しき編集者と美形の売れっ子画家が、不可思議な事件に挑む。なぜなら画家はシャーロック・ホームズの大ファンだったのだ。・・・といってもホームズ役は編集者の方で、画家が勝手に編集者を名探偵と思い込んでいるのだが。お仕着せホームズと妙に積極的なワトソンという変わった組み合わせのミステリなのだが、2人の役割・属性の割り振りのバランスが悪く、どちらか一方だけでもストーリーが成立してしまいそうなところが残念。シリーズものの宿命ではあるが、キャラクターの数がストーリーの規模からすると多すぎるのではないだろうか。さらっと読めるがさらっとしすぎで物足りない。ホームズやミステリ小説への愛は感じられるだけに惜しい。実在の人物がちらちら登場するのは楽しかったが。