「~男」シリーズにしたいがために、配給会社に大分かわいそうな邦題を付けられてしまった本作。しかしすごく面白いしいい映画ですよ!と声を大にして言っておきます。うっかり目頭が熱くなりそうでしたよ私は。
 10代の頃に遭った交通事故の補償金で、仲間と自堕落な生活をしてえるベン(セス・ローゲン)。ある日クラブで、テレビキャスターに抜擢され、姉とお祝いに来ていたアリソン(キャサリン・ハイグル)と酒の勢いでベッドイン・8週間後、妊娠に気づいたアリソンはベンを呼び出す。悩んだすいえ、2人は出産に向けて協力しあうことを決めるのだが。
 ベンとアリソンは不測の事態により親にならざるをえなくなるのだが、双方不満はある。ベンは仲間とまだバカ騒ぎをしていたいし映画も見まくりたい。アリソンはやっと手に入れたキャリアを中断したくない。しかし親になるということは、これまでの生活・楽しみを別の方向にシフトチェンジしなくてはならないということでもある。これ、ありがちなストーリーだとお気楽人生を送ってきたベンが生活を改めるというだけになりそうだが、アリソンの方も完全無欠な人物ではない描き方にしているところがバランスがいい。彼女の難点は主に終盤で明らかになるのだが、ベンとは違った方向で現実的でないところ(職場で妊娠について秘密にしていたり、出産に対する知識が頭でっかちだったり)があるのだ。そんな2人が大人になるために踏ん切りをつけるまでの物語ともいえる。男女の両方の側からバランスよく描いており、「これだから男/女は」という非難合戦になることを防いでいた。ダメな男/女に対する視線にどこか優しさや共感があるのもほっとできる。
 男女のギャップはベンとアリソンよりも、むしろアリソンの姉夫婦に色濃く現れている。特に姉の夫のボヤキは、全国の既婚・子持ち男性の共感を得そうなものだ。男性は自分ひとり、もしくは同性の仲間と楽しみたいのだが、女性は夫/彼氏と楽しみたいので「なんでさそってくれないの?!」「なんで黙って出かけるの?!」となるというアレです。一人の時間がほしいんだと言うのもごもっとも(もっとも、妻の方も往々にして同じことを思っているんですが)。彼は大人になりきれていないといえばそうなのだが、その気持ちがわかるだけに悲哀が染みてくる。ただ、彼は自分を不幸だと思っているかというと、そうではないだろう。確かに独身時代のような遊びは出来なくなったかもしれないし、妻子に対する不満は山のようにありそうなのだが、家族を持つことにはまた別の幸せがあるんだぜ、ということを言外に示しているように思う。だからこそ、ボヤきつつも家庭に戻ってくるのだろう。
 なんだかアリソンの義兄にばかり肩入れしているみたいだが、アリソンの姉の言葉にも、強烈に共感するものがあった。「私はオバサンになるばかりなのに夫はシブいと言われるなんてずるい!」というもの。全くだ。こと加齢に関しては、女性の方が絶対損してるよなー。