T.E.ロレンスの自伝『知恵の七柱』をロバート・ボルトが脚色し、デイヴィッド・リーンが監督した、いわずと知れた大スペクタクル映画。1962年の作品だが、完全版をスクリーンで上映するしていたので行って来た。
 1916年のカイロ。英国陸軍カイロ司令部のロレンス少尉(ピーター・オトゥール)は、トルコに対して反乱を起こしつつあるアラブ民族の情勢を調査するため、反乱軍のリーダーであるフェイサル王子(アレック・ギネス)の陣営を訪れる。しかし反乱軍は近代化されたトルコ軍の前に形勢不利。ロレンスはボラエタット族と手を結んだゲリラ戦を提案する。
 スクリーンで見ると風景にしろ騎馬戦にしろ鉄道爆破にしろ、迫力満点でそれだけで大満足。ロケ大変だったろうなー。当時としては破格の規模だったらしいが、今見てもすごく見ごたえがある。見るならスクリーンで見るべきだろう。砂漠の美しさが強烈だった。
 ロレンスはストーリーの前半で華々しい業績を残し、後半で転落していく。しかし今回改めて見ると、前半からすでにロレンスの危うさが見え隠れする。理想主義者で、よくも悪くも軍人らしからぬ人なのだ。彼の行動は勇敢だが、現実に即さない勇敢さとでもいえばいいのか、「~でなければ」という自分の指針に基づいたものだ。それは立派なことではあるのだが、彼の場合、その「~でなければ」を自分だけでなく他の人にも要求する。また、カリスマ性はあるが実務能力が伴わない。ちょっと浮世離れしていて、リーダーとしては色々と問題がある人に見える。
 浮世離れした雰囲気を強調しているのが、演じるオトゥールのしゃべり方だ。こんなにふわふわした、かつ滑らかなしゃべり方だったとは・・・。もう全然軍人のしゃべりじゃないのだ。オトゥールを主演に抜擢したのも、この映画の成功の大きな要素だったのだろう。まさにはまり役だった。
 また、今回特に印象に残ったのは、ロレンスが多分にマゾヒスティックな人として造形されていたのではないかというところだ。タバコを指でもみ消す癖や、傷の痛みに対する過剰な耐性など。物語後半での転落も、半分は防ぐ意思がなかったためのものではないかとも思える。