ジョゼフ・ウォンボン著、小林宏明訳
柳沢慎吾がおもむろにネタを始めそうな邦題だなこれ・・・。ハリウッド署の警官たちがおりなす群像劇と、チンピラたちの画策とが交錯する。視点がこっちの警官コンビからあっちの警官コンビ、そしてホームレス、さらにギャングへとあちこち飛び回り、最初は散漫かつ展開がかったるいなーという印象だった。しかし後半、無関係に見えたパーツが徐々に繋がっていくにつれ小説のテンションが上がる。何より、個々の警官の人となりが段々くっきりとしてきて、読んでいるうちに愛着がわいてくる。著者は元警官だそうだが、警察官という職業を(それが抱える難点や悪評も含め)愛しているんだと思う。その愛は、古老の警官「オラクル」に投影されているように思う。「(中略)彼はこの仕事と結婚して、できた子供がきみたちだ。きみたちや、ほかの先輩たちだ」・・・こんなこと言われたら職業冥利につきるのではないだろうか。