有栖川有栖、綾辻行人著
本格ミステリ界のベテラン2人によるミステリアンソロジー&対談集。普通、ミステリ批評というと「ネタバレ」せずにはできない為に、あの作品を読んでいないからこの評論は読めない、この評論を読むにはあの作品を読まなくちゃ、というジレンマがあったが、本作はネタバレする作品を収録した上でその作品について対談しているので、ストレスフリーに読むことができる。しかもこの対談がめっぽう面白い。2人のミステリ愛好家としての基盤や嗜好の差異だけでなく、推理小説って何なんだろう?何をもって本格ミステリとみなすんだろう?本格ミステリとパズルってどこが違うの?ということへのアンサーにもなっている。「実はパズルが崩れているのに、くずれていないように見える不思議な領域がある。推理小説というものは、そこに立っているのだろうと思います」という有栖川の言葉に深くうなづいた。「肝心なのは小説であること」なんですね。ミステリファンに至福のひと時を与えてくれる一冊。第二弾を首をながーくして待っています!