カンパーニュの実家に戻ってきた画家(ダニエル・オートゥイユ)は幼馴染の庭師(ジャン=ピエール・ダルッサン)と再会する。監督は『クリクリがいた夏』のジャン・ベッケル。『クリクリ~』と同じく、フランスの田舎が魅力的に映されている。もっとも、邦題に「カンパーニュ」と付けたのは蛇足だろう。あからさまに中高年女性層に客層を絞り込んでいるような気がするが、いわゆる「オシャレでロハスな田舎暮らし」では全然ありません。むしろ中高年男性に見て欲しい、男の友情映画。
 もっとも、画家と庭師の関係はこれみよがしに「親友」的なものではない。2人は育った環境も大人になってからの生活振りも全く違う。1人は薬剤師の父を持ち、パリの売れっ子画家としてそれなりの地位と財産を作ったが、妻とは離婚まで秒読み。もう1人は労働階級の家に生まれ、地元にとどまり国鉄職員として勤め上げ(庭師は趣味)、今でも女性は妻一筋。そして、画家は庭仕事のことはよくわからないし、庭師は芸術のことはわからない。むしろ対照的な2人なのだ。そういう2人だが、どこかで通じ合っている。お互いの生活や家庭にさほど立ち入ったりはしないが、根っこの所で相手に対する理解があるのだ。親友というのは本来そういうことなのかもしれない。
 会話が魅力的な作品だった。ストーリー自体は小さなエピソードの積み重ねで、華やかなものではないが、2人のやりとりの妙で映画が立ち上がっている。もっとも、大人の男性のウィットにとんだやり取りというより、小学生男子のじゃれあいの延長線上のようにも見える。時にベタなコントのようなところもあったが、朴訥とした面持ちがあって、ほっとする映画だった。何より、庭の風景がいい!野菜がおいしそう!私は園芸には全く興味がないのだが、庭いじりも楽しそうだなぁと思わせる映画だった。
 ところで、ベッケル監督は労働者層に対する思い入れがあるのだろうか。『クリクリ~』を見た時にも思ったのだが、社会の底辺寄りにいる人間に対する目線が優しい。また、彼らが仕事に対して持っている誇りをちゃんと描いているところにも好感が持てる。庭師は、子供の頃から庭師になりたかったのだが、やむを得ず入社した国鉄の仕事には誇りを持っているしすごく愛着を示すのだ。そういう人たちがいなくなっていく物語でもあるので、ちょっと切ないのだが。