女子高生アミ(八代みなせ)は弟のユウと2人暮らし。両親は殺人犯の疑いを掛けられたことを苦にして自殺した。しかしいじめによってユウまで死に追いやられ、アミは復讐鬼と化す。同じくいじめによって息子を亡くしたミキ(亜沙美)と共に、いじめの首謀者であったヤクザの息子とその一家に迫るが。
 監督は井口昇。監督としてだけでなく、役者としても多数の作品に関わっているそうだ。この人の監督作て見たことないよなーと思っていたが、短編「アトピー刑事」を見ていることに気づいた。何かクリーチャー的なものに拘りのある人なのかなという印象だったが、堂々の新作は人体損傷祭り映画だった。血も肉も飛びまくり。
 ジャンルとしてはスプラッター映画なのだろう。私はこのジャンルには疎いので想像なのだが、スプラッター映画が好きな人は、血肉がピューピュー飛ぶのを見て爽快感を感じるのだろう。本作でも確かに血が飛びまくる。スプラッターに興味があまりない私にとっては、ちょっと飽きちゃったなーくらいの勢いで飛ぶ。しかし、いまひとつ爽快さが突き抜けない。思うに、弟を殺されたヒロインの悲しみと復讐心が、彼女が殺した少年たちの親の復讐心によって相対化されてしまうからではないだろうか。この手の話でスカっとさせるためには主人公の残虐行為に対する大義名分が必要なんだろうが、それが相殺されてしまっているので、どっちもどっちだよなぁ・・・という微妙な気持ちになってしまう。
 で、その復讐し合いと同時に渾身のギャグも展開されているのだが、これがやりすぎの時があって、どのへんに重点置いて見ればいいのか、だんだんわからなくなってきた。どこかを立ててどこかを引っ込めるというバランス感覚があまりないんじゃないだろうか。なぜそこで天ぷら?!と思い切り突っ込みたくなった。あとギャグじゃないんだろうけど、鍋のサイズがいきなり変わっているとか。せっかく監督自ら出演している「鑑賞の手引き」まで上映してくれるのに、本編では笑いどころのツボをいちいちはずされてしまった。笑いのツボは人によって違うから、私だけかもわからないですが。
 おもしろくないわけじゃないのだが、無理して見なくてもよかったかな・・・。そもそも、なかなか「マシンガール」にならないんだよ・・・。待ちくたびれた。ただ、自動車整備工のミキ夫婦のキャラクター造形はばっちりだった。日本人のDNAには、やっぱりヤンキーへのあこがれが組み込まれていると思う。ミキ役の亜沙美はヒロインをくっていた。