グレアム・グリーン著、加賀山卓朗訳
 「わかりました―だったら裏切り者なんでしょう。誰を裏切ったんですか?」イギリス情報部の秘密事項がソ連に漏れた。年配職員カッスルは嫌疑を逃れるが、若い同僚デイヴィスに疑いが。裏切り者は誰なのか?誰にとって、何にとっての裏切りなのか、何に忠実であるのが本当に人間らしいといえるのか付きつける名作。1人のスパイが、人間らしい感情に忠実であろうとして転落していく様が痛切だった。どう見ても「出口なし」な状態なのに、いろいろな物を切り捨てられない姿はひどくもどかしいのだが、人間である以上しょうがないのか。では切り捨てていくことを強いる国や組織はなんなんだろうかと、どんよりとした気持ちになった。