パリ8区のモンテーニュ通り。劇場とオークション会場の向いにあり、様々な人が集まる小さなカフェ「ド・テアトル」。カフェの新入りギャルソン・ジェシカ(セシール・ド・フランス)はコンサートツアーに疲れた有名ピアニスト、生涯かけて集めた美術品を全てオークションに出そうとしているコレクター、舞台の初日を控えている女優に出会う。
 パリの風景は楽しく、かわいらしい映画ではあるのだが、何となく物足りない。狂言回し的な役どころであるジェシカが、かわいいことはかわいいが、身近にこんな人いたら結構うざったいかもなぁと思わせる(私はですが)キャラクターだというのも一因か。また何より、メインの登場人物であるピアニスト、コレクター、女優の3人が、それぞれ問題を抱えているものの、なぜ問題になっているのか、どうしたいのか、どうやって解決していくのかという過程が、割となぁなぁに処理されてしまう為、食い足りないのではないかと思う。ピアニストのエピソードはそこそこきれいに纏まっているが、コレクターのエピソードではいつのまにか息子の問題にすり替わってしまうし、女優のエピソードはドタバタ劇として終わってしまう。アプローチによってはもっと面白くなりそうだったのになぁ。特に女優のエピソードに関しては、彼女が単なる困った人に見えてしまって残念。なぜ昼メロ女優から脱却したいのか、本当はどういう人なのかという所がいまいち見えてこなかった。加えて、アート系映画に出たがっている割には映画好きとは思えないというのが、最大のネックだったと思う。
 そんな中、あこがれていた音楽の道には進めなかったが、劇場のスタッフとなることで音楽家たちを支え続け、今の仕事に満足していると言い切る年配女性が光っていた。自分のあり方に悩む人たちと比べると、足るを知り地に足を付けて人生を歩んでいる頼もしさがある。お気に入りの音楽に合わせて口パクで歌うのだが、これが堂に入っていてキュートだった。
 ところで、女優がクロワッサンにバルサミコを付けて食べていたのだが、どんな味になるのだろうか・・・。そんなに美味しいとは思えないのだが・・・。