野中柊著
 小学生の双子の姉妹、小春と日和はタップダンスの発表会がきっかけで、CM出演することになった。ちょっと昔(オイルショックがあって、ザ・ピーナッツが解散するころ)の神奈川と東京を舞台にした家族小説。小学生女児・日和の視点で物語は進むが、少女小説というよりは家族小説と言う方がふさわしいように思う。両親や祖母、祖母のボーイフレンドの配置が上手く、それぞれの人物造形が浮き上がってくる。タップダンスのようにリズミカルで軽やかな小説だった。家族小説にありがちな窮屈さが薄いのね。最後にさーっと視線が大人のものに繋がっていくところも上手い。ちゃんと成長物語にもなっているのだ。