1960年代~70年代のアメリカを舞台にした、ギャングのボスと刑事の攻防。フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は長年仕えたギャングのボスの死後、旧来のギャングのやり方とは異なる麻薬ビジネスで、めきめき頭角を現す。一方、刑事のリチャード・ロバーツ(ラッセル・クロウ)は汚職がはびこる所内で唯一、公正明大な態度を貫き、却って白眼視しされていた。そんな彼は麻薬操作チームのリーダーに任命され、徐々にルーカスへ迫っていく。
 監督はリドーリー・スコット。私、スコット監督の映画を初めて面白いと思いましたよ!本作はトーン控え目で、結構渋い雰囲気なのがよかった。派手なアクションもカーチェイスもないが、ギャングと刑事の2本のラインがじわじわ近づいていく(しかも、ロバーツはともかくルーカスはロバーツの存在を全く知らないまま)過程がスリリングだ。ただ、あくまで「過程を追う」ストーリーなので、ネタのわりには淡々としている。まあそこがいいんですが。
 ルーカスは「高品質・適正価格」な商品(麻薬)の供給を、独自の生産・運搬ラインを確保することで可能にする。ギャングというよりやり手のビジネスマンの発想だし、彼の風貌も知的でスマート、ヤクザ者には見えない。麻薬の供給ラインを確保しのしあがる過程は、ギャング版プロジェクトXと言ってもいいくらいだ。現代的なビジネスセンスを持った人なのだ。一方では家族を大切にしファミリービジネスを確立させるという古風な面もある(しかしこれによって外部からの干渉を防ぐことが出来たのだ)。一族に富と幸せをもたらす一方で、敵には情け容赦なく、彼が売った麻薬で中毒者たちが死んでいく。
 一方、ロバーツは職務には忠実で正義感が強い。絶対買収されないことを買われて捜査チームに抜擢されたのだ。しかし同僚からは総スカンをくらい、それに耐えられなかった元相棒は麻薬に溺れていく。更に女癖が悪く妻とは離婚訴訟中。妻は「賄賂を受け取っても家族と一緒にいてほしかった」と彼をなじる。これは本人やりきれないだろうなーと思った。浮気は自分のせいだけど、仕事に対する誠意まで却下されたら立場ないわ。
 2人は対照的な立場にあるが、仕事に忠実・誠実であるという点では実は共通している。もしかしたら似ている、分かり合える相手だったのかもしれない。ということを提示しあるオチがくるから、おーおーそうでしょうとも!と気分が盛り上がる。これ実話が元なんで、出来すぎた話という突っ込みは不可。