北アイルランド映画祭で鑑賞。「明日に向かって撃て!」が公開された1970年代初頭のベルファスト。橋の「こちら側」にはプロテスタント、「あちら側」にはカソリックが暮らしていた。プロテスタント地区に住む少年ジョンジョは、カソリック地区に住む少年ミキボーと仲良くなる。映画にあこがれた2人は「義兄弟の契り」を交わし、オーストラリア目指して冒険の旅に出た。
 監督はテリー・ローアン。今回の北アイルランド映画祭で唯一、大手制作会社(ユニバーサル)が製作に関わっている。ユニバーサル映画だから「明日に~」の映像を使えたのね。さすがにエンターテイメントとしての完成度は高く、商品として安定しているという印象。子供の影を使ったタイトルロールが洒落ているのにはぐっときた。もちろんアイルランド情勢が背景にあるので、他国の人(製作国はイギリスですが)には若干わかりにくいところもあるかもしれないが、子供映画として十分に楽しめる。
 悪ガキと良い子のやりとりや、ミキボーの家族のユニークさ等、コメディ部分が楽しい。特にミキボーの双子の姉、ノリのいいお母さんは素敵なキャラクターだ。また、「明日へ向かって撃て!」からの抜粋、オマージュが盛りだくさんなので、映画好きにも嬉しい。ミキボーが強盗(笑)に入った銀行で、老夫婦と銀行職員が交わす会話にはニマニマしてしまった。どこの世界にも映画好きがいるなー。
 楽しい映画なのだが、シビアな現実が待ち受ける。2人の少年の友情の顛末はショッキングだが、これが当時の現実なのだろう。もう救いがない・・・。しかし最後にもう一オチある。これでわずかに救われるのだ。人生確かに変わったんだと。