2004年に公開された井口奈巳監督作品『犬猫』の前身である、自主制作の8㎜版が本作。前々から見たいと思っていたのだが、やっと見ることができた。35㎜版『犬猫』は大好きな映画なのだが(ちなみに当時書いた感想はこちら)、本作はさすがに監督若かったんだなというか、モロに学生の自主映画で、画質は悪いし編集はぎこちないし役者も下手。あー若くて勢いあまっているとこういうシークエンス撮っちゃうよね・・・と恥ずかしくなる所もあった。しかし所々にはっとするようなシークエンスがありほのかに嬉しくなる。ヨーコとスズが、スズがフリマに出すという服を鏡の前で次々あててみるところや、縁側での爪きり、鉄棒でくるくるまわるヨーコなど、いい感じなのだ。これらのいいシークエンスは35㎜版にそのまま移行されている。驚いたことに、8㎜版と35㎜とはコンテが殆ど変わっていない。ロケ地もほぼそのまま。いらないシーンだけがそぎ落とされている。監督はよっぽどこのフィルムに思いいれがあるのだろうと思った。
 動作の一つ一つを丁寧に撮っていくなあと思った。ちょっと長回ししすぎなところもあるので、見る人によっては退屈してしまうだろう。しかし、人の動きをじーっと観察する面白さというものもあるので、人によってはぐっとくると思う。
 8㎜版主演の女優2人は、正直言ってさほどかわいくはない(特にヨーコ役の人は、ちょっと光浦靖子に似ている。いや私は光浦好きなんですよ)。とにかく普通なのだ。そういう人たちがヨーコとスズを演じると、かなり生生しい。ヨーコが片思いしているバイト先の男の子を自宅に誘うが断られる、しかし彼はスズの誘いには乗るというところとか、スズがその男の子に結構分かりやすくアプローチするところとか、ああいるよこんな子!ていうか俺か!くらいの勢いで生々しい。特にヨーコの振られっぷりがイタイタしすぎる。出演者のルックスはある程度良い方が安心して(距離感があるからね)見られるんだなぁと妙に納得した。