ロス・マクドナルド著、井上一夫訳
探偵リュー・アーチャーは、自分の不倫を告発する手紙の差出人を探してほしいという依頼を受ける。しかし依頼者の女の態度はどこか煮え切らず、彼女の家族も変わり者ぞろいでぎこちない。そして殺人事件が起きる。シリーズ初期の作品だからか、まだ路線が定まっていない感じがする。アーチャーが妙にタフぶっていたりアクションがあったりと、タフなヒーローが活躍する普通のアクション小説みたい。しかし家族の問題に対する関心はこのころから一貫していたようだ。エディプスコンプレックスやらエレクトラコンプレックスやら、現代ではすっかりポピュラーとなった(というかもはや陳腐化しつつある)言葉が新しいものとして持ち出されているあたりに時代を感じた。流行ってたのねー。