有栖川有栖著
 江神シリーズ新作。・・・って何年待ったと思ってんですかーっ!それはさておき、名探偵ものにおいて警察が介入してこない状況をどう作るかというのは一つのポイントだが、この手があったか・・・。新興宗教都市(というか村)ということで、陸の孤島プラス特殊ルール下というおいしい状況に!しかし、新興宗教やバブル崩壊直前の空気感という大きいテーマになりそうなネタを使っているものの、それが実際にテーマになることはまずないというのが、有栖川先生の素敵なところだと思います。大きなテーマなんていらん!肝心なのは謎、そして謎に対する解だ!というわけで「読者への挑戦」も搭載した正しくロジカルなミステリ。いかにもいかにもな見取り図が実はあんまり必要ないところはご愛敬。そしてアリスとマリアの視点が分けられている章立てに、これはきっとすごい叙述トリックがあるのでは!とわくわくしていたらそんなこともなかったところもご愛敬。あと、江神が抱えている問題にはさりげなく触れる程度なのが、抑制効いていてよかったと思う。堪能しました。