養護施設で暮らす少年クンデルは、施設を脱走して母親の元へ向かう。しかし母親には恋人がおり、クンデルの居場所はない。川辺に留められた小船に住み着いたクンデルは、川辺の屋敷に住む裕福な少女と知り合う。
 ポーランド発の子供映画。子供たちは皆素人らしい(色々な学校や施設を回ってオーディションしたらしい)のだが、えらく上手いのでびっくりした(10歳くらいの子だと思う)。演技しているというより、彼(彼女)自身の中に役柄に近い部分がかなりあって、それをドロタ・ケンジェルザウスカ監督が上手く引き出したんじゃないかという印象を受けた。子供への演技指導は難しいと思うのだが、すごくいい表情を引き出している。主演の少年と少女が、子供っぽい顔をしている時と、非常に大人びた顔をしている時があって、その落差にどきっとする。いわゆる「マセた」表情ではなく、人生悟ってしまったかのような、疲れたような諦めたような目をするのだ。よくこんな顔引き出したなと思う。特に少女がいい。ボーイッシュな子で、お酒を飲んでバカみたいに笑ったかと思うと、真顔で「私のこと好き?」と聞いてくる。普段は少年のようだが、急に大人の女のような言動をする。この大人びた言動に関してはちょっとやりすぎかなという気がしなくもないが、彼女は決して美人ではなく、彼女の姉は美少女であるというあたりが切ない。将来何になるのと問われて「オールドミス」と答えるんですよ。それは切な過ぎるだろう!
 彼女はおそらく家庭内でも学校でもおミソ扱い(学校にいるシーンがちょこっとだけ出てくるが、あまり楽しそうではない)で、居場所がないのだろうということが窺える。少年はもちろん、母親から見放され居場所がない。居場所のなさが少年と少女の間に連帯感を生むのだ。大人と比べて、子供には居場所となるべき場所とか人とかの選択肢が大幅に少ない。そういう不自由さをしみじみと感じた。少年も少女も、幼い子供らしい部分と早くに大人になってしまった部分がアンバランスで危うい。そして少女の姉が、少女とはまた別の意味で大人であるという所にひやりとさせられた。
 子供の悲しみを描いた作品ではあるが、子供の生々しい姿と抽象化された姿が混在していて、良くも悪くもきれいにまとまっている。ちょっときれいすぎるかなという気もするが、あまり生々しいと気が滅入ってくるしな・・・。マイケル・ナイマンによる音楽も、救いのなさを中和していたと思う。