私がアニメーションを見る場合、ドラマやキャラクター造形よりも、絵がどう動くかに一番意識がいくらしいというのがすごく良く分かった。本作は映画としての比重が、後半に進むにつれどんどんアクション寄りになっていって、バランスとしてはあまりよくないのだが、その歪なところすら愛おしいです。物語なんて、「強い用心棒が子供を守ってめっさ強い奴と戦う」というただただそれだけだ。しかし、物語をシンプルに留めたことでビジュアルのインパクトが印象に残り、却ってよかったんじゃないかと思う。アクションが突出しているのに派手派手しい雰囲気にはなっていないところもいい。 
 安藤真裕監督にとっては長編初監督作品だが、アクション作画に定評のある人なだけあって(いやー本当にいいんですよこの人の作画!なんかもーぞくぞくすんのアニオタとしては!)キャラクターの動きには見ごたえがある。いわゆる名作・傑作の類ではないが、これをやりたいんだ!という意気込みが感じられる好作だった。特にちゃんばら映画を真面目にアニメーションでやろうとしているところには好感を持った。私は実写の時代劇はあまり見ていないのだが、アニメーションで剣を使ったアクションシーンをやろうとすると、(多分実写でもそうだと思うんだけど)一定のパターンに収まりがち、というかこれだけ古今東西アクション映画があったら、もうネタが出尽くしてしまっているだろうと思うのだが、本作ではまだ何か面白い見せ方があるんじゃないかと試行錯誤している様子が垣間見られる。実際、アクションシーンが良く練られていて、唸ったところも(前半の、古寺内での立会いとか、終盤の塔の高低を利用した上下運動とか。設定上、装置が大きすぎると思ったのだが、このアクションシーンのためだったか)。空間把握のセンスがいいんじゃないかと思う。
 キャストは、主人公「名無し」にTOKIOの長瀬智也。声優初挑戦だそうで大丈夫か?と思っていたが、息の入れ方とかが案外上手い。ぶっきらぼうな感じが出ていて悪くない。そして名無しと対決する異国の剣士に山寺宏一。いやーあれだね。わかってたけど本気の山寺は男前すぎますね。中の人が山ちゃんだとわかっていてもときめきますね。