日本推理協会編 
 光文社はやっぱりミステリ(というかノベルズ版ミステリ)に強かった。ライトなものからガチな本格まで、豪華な面子が揃ったアンソロジー。いやー名探偵って胸ときめく言葉ですね。そして赤川次郎と法月綸太郎が同じ本に収録されているという不思議(笑)。収録の中で気に入ったのは、柄刀一「デューラーの瞳」。柄刀はロジックはいいのに文章が・・・と毎度はがゆい思いをしていたのだが、今回は大丈夫だったよ!相変わらず物の位置関係が微妙に良く分からないところはあるし(私の頭が悪いのだろうか)、トリックもロケーション的にそれはどうかと思うところはあるのだが、ザッツ本格!な感じがうれしい。本格といえば、有栖川有栖「あるいは四風荘殺人事件」は、著者の最近の作品に見られる、正統派な本格ミステリを突き詰めていくとだんだん変な領域に突入していく、という現象が起こっていてファンとしては嬉しい。また、トリの横山秀夫はさすがの安定感。しかしこの人の小説は、ホント警察官になりたくなくなる話ばっかりだ。