『鉄コン筋クリート』のヒットも記憶に新しいアニメスタジオStudio4℃による短編アニメーションのオムニバス映画。奇妙な生き物が柔らかなタッチで描かれる「Genius party」(福島敦子監督)、幼児が世界を救う?アクションシーンに力の入った「上海大竜」(河森正治監督)、手書きぽい緻密なタッチでダークかつコミカルな死者の世界を描いた「デスティック・フォー」(木村真二監督)、自分が2人いるのでは?というSFぽい「ドアチャイム」(福山廉治監督)、イメージの奔流とでも言うべき「LIMIT CYCLE」(二村秀樹監督)、簡潔な線画でユニークな動きを作る「夢みるキカイ」(湯浅政明監督)、エスケープする少年少女を丹念に描く「BABY BLUE」(渡辺信一郎監督)の7本から成る。
 どの作品もそれぞれ面白いのだが、監督の力量がかなり明確に出てしまった感もある。今回ぶっちぎりで面白かったのは「夢みるキカイ」。湯浅政明は才気走っている。マインドゲームもケモノヅメもスルーしていた私がバカでした!と土下座したくなった。赤ん坊が荒野を旅するというシンプルなストーリーなのだが、キャラクターの造形も動かし方もユニークでイメージがばんばんひろがる。とにかく作画が上手い!10数分の作品ではあるが大満足でした。一方、ストーリーはともかく動画がなぁ、と思ってしまったのが「ドアチャイム」。主人公の歩き方がどう見ても変だ。足の踏み出し方が足りない気がする。なんだか素人くさい作品だなと思った。
 ファンタジックな作品の中、キャラクターのデフォルメも少なく実在の街を舞台とした、アニメで岩井俊二目指してみましたという雰囲気もなくはない「BABY BLUE」は、渡辺信一郎が監督したというのが意外だった。こういうリアリズム志向のアニメーションは必ずと言っていいほど「アニメでやる必要があるのか」という批判を受けるが、こういうのをちまちまアニメで作るから面白いと思うんだけどなー。ただ、この作品が短編映画として面白いかというとまた別の問題だ。嫌な印象は受けないのだが、所々セリフが浮いていたのが気になった。渡辺監督はクサいセリフをキャラクターに言わせちゃう傾向があると思うのだが、こういう日常的な作品では、クサいセリフが馴染まないのだ。ケレン味がある作品だったら逆に映えるのだろうが。
 あと、「デスティック・フォー」は、監督の好みをよく反映していたと思う。木村真二は『スチームボーイ』などの美術を担当した人だが、町並みの造形がとても魅力的。どんどん書き足していきたくなるタイプの人なのではないか。
 こういう企画を商業ベースでやるのは難しいと思うののだが、よくがんばったなぁ。Studio4℃の、人材を育てていこうという意欲を感じました。ちなみに第2弾も控えているそうなので喜ばしい限り。