行方不明のジャック・スパロウ(シジョニー・デップ)を探すウィル(オーランド・ブルーム)、エリザベス(キーラ・ナイトレイ)、バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)一行。一方東インド会社のベケット卿はデイヴィー・ジョーンズの心臓を手にいれ、彼の船だったフライング・ダッチマン号と乗組員を手ごまとしていた。東インド会社に対抗するため9人の伝説の海賊が召集されるが。
 とうとうシリーズ完結。2作目「デッドマンズチェスト」は壮大なコントのようなノリの作品だったが、本作ではコント度はやや下がっている。もっとも、デップの演技は相変わらずコントっぽく、むしろコントとしては絶好調。ジャックの脳内に「良いジャック」と「悪いジャック」が現れて言い合いしたり、ジャックが大量発生したりと、ちょっとやりすぎなんじゃないかと思うくらいノリがいい。演じるデップも非常に楽しそうだ。
 ただ、映画としては豪華なのに薄味。それぞれのキャラクターの背景や相互関係がシリーズ進むにつれて増えたきた結果、いろいろ詰め込みすぎで消化しきれなくなっているという印象を受けた。呪いやら目的やら何やら、もっと絞り込んだ方がよかったんじゃないか。また、いろいろ詰め込んだ結果、ストーリー展開が非常に駆け足で目まぐるしかった。一つ一つの要素を楽しむヒマがない。お客さんがおなかいっぱいになるようにがんばったのに、全体的には薄味なのでちょっともったいない。今回せっかく新キャラとして登場したチョウ・ユンファも使い捨て状態。これだったら出演しなくてもよかったんじゃ・・・。上映時間3時間というのもきつかった。3時間息もつけないくらい面白いならいいのだが、残念ながら夢中になれるほどには密度が濃くない。せめて2時間に収めてほしかった。例によってエンドロール後にサービスがあるのだが、長いエンドロールが終了するまで待つのが苦痛だった。
 そういえばこのシリーズ、どのキャラも結構わがままというか、自分のことばっかり考えていたなー。特に本作では、バルボッサがちゃんとした大人に見えるくらい、ジャック・ウィル・エリザベスの3人がやりたい放題。特にジャックの子供っぽさが際立った。そんなジャックも最後の最後である決断に至る。もしかしてこの3部作、ジャックのモラトリアム卒業話だったの?・・・と思ったけど卒業していないですねこれは。