ジョン・ハーヴェイ著、日暮雅通訳
 元警部エルダーが未解決の少女失踪事件を追う。犯人は仮釈放された青年なのか?サスペンスとしてはそんなに個性は強くないのだが、離婚したエルダーの娘に対する思いにぐっとくるものがあった。エルダーは娘が離婚を自分のせいだと思っているのではないかと心配し、パパがお前を愛しているのは知っているだろうと言うが、娘は「わかってる。でも、それはどうでもいいことじゃない?」「パパは、ママをもっと愛さなきゃいけなかったんだよ」と言う。きついわ。エルダーは元妻を愛していたことは愛していた(今も愛していないわけではない)が、自分自身や自分の仕事より優先させることができていたか?と葛藤する。しかし自分より、また自分の本能のようになっている仕事よりも常に家族を優先させなくてはいけないというのは、酷なことでもあると思う。家族をやるというのは、その酷なことに慣れていくということでもあるのだろうか。