バンドブーム巻き起こる90年代。友人のミハル(杏)からLANDSというバンドのCDを借りたアサコ(北乃きい)は、一気に彼らのファンになる。ある日LANDSのライブに行ったミハルとアサコは、打ち上げにもぐりこむが、アサコはなぜかボーカルのナツ(赤西仁)に気に入られ、練習にも同行するようになった。音楽プロデューサーの小林武史が、岩井俊二の脚本・プロデュースで映画監督デビュー。映像はいかにも岩井俊二作品ぽい。ていうか岩井が監督して小林が音楽プロデュースすればよかったんじゃないの・・・。
主演の赤西仁がかなり頑張っている。素じゃないの?とうっかり心配になるくらい、チャラい男役がはまっていた。本作、ナツに対して「基本ダメな人です」とはっきりアナウンスしてしまっているので、実は結構損な役ではないかと思うのだが。相手役の北乃きいは危なげがない。良くも悪くも「普通の女の子」を好演している。あと、ちょっとしか出てこないが杏がのびのびとした動きで案外よかった。
わりと良い部分と、げんなりする部分との振れ方が極端だった。前述の通り、俳優はつたなさもあるが悪くない。しかし、脚本・演出がまずい。岩井はどうしちゃったんだ・・・。概ねアサコ視点なのだが終盤急にアサコが消え、また出現という展開も不思議なのだが、随所随所での、謎なシークエンスが多すぎる。あえて突っ込み待ちをしているとしか思えない。まずナツとアサコの出会いのシーンで、アサコが落としたコンタクトをナツが舐めてきれいにする・・・ってむしろ雑菌増えるからね!またアサコがLANDSの女性マネージャーに口移しで水を飲ませるというのも、どういう流れなのか全く不明だ。そもそもおたふく風邪なのに何で風貌が変わらないんだ。数えだすときりがない。
また、全般的に若気の至りで書いちゃったような恥ずかしいセリフが多いのにも辟易した。特に、ユキヤ(高良健吾)がアサコを海に連れ出すエピソードでのセリフは、どこの不思議ちゃん(しかもオリジナリティがない)かと。言わされている高良がかわいそうになるくらいだ。そもそもこのエピソード自体があまり必要とは思えず、ユキヤの行動も唐突。登場人物の行動の筋道が、ちゃんと考えられていないところが多い。
映画としては正直きつい代物だが、小林武史の実体験に基づいているんじゃないかという部分が散見されるのは面白い。レコーディングの際、メーカー側のディレクターがやたらいばっていたり(そしてセンス古かったり)、不本意でも売れ線狙いのアレンジをしなくちゃならなかったり、その曲がうっかりヒットしちゃったり、しかし2匹目のドジョウはいなかったり。お約束的ではあるが、それが逆に生々しい。また、前述したとおりナツに対しては一貫して「顔はいいけど才能ない人」という扱い、LANDSは「良い線いったけどこのままだと消える」扱いなところは、小林は多分、こういうタイプの人、バンドを山ほど見てきたんだろうなと思わせるものがあった。
少女マンガ的雰囲気とチャラさの中に小林武史の怨念が垣間見える、怪作といえば怪作。でも今後は音楽に専念してください。お願い。
主演の赤西仁がかなり頑張っている。素じゃないの?とうっかり心配になるくらい、チャラい男役がはまっていた。本作、ナツに対して「基本ダメな人です」とはっきりアナウンスしてしまっているので、実は結構損な役ではないかと思うのだが。相手役の北乃きいは危なげがない。良くも悪くも「普通の女の子」を好演している。あと、ちょっとしか出てこないが杏がのびのびとした動きで案外よかった。
わりと良い部分と、げんなりする部分との振れ方が極端だった。前述の通り、俳優はつたなさもあるが悪くない。しかし、脚本・演出がまずい。岩井はどうしちゃったんだ・・・。概ねアサコ視点なのだが終盤急にアサコが消え、また出現という展開も不思議なのだが、随所随所での、謎なシークエンスが多すぎる。あえて突っ込み待ちをしているとしか思えない。まずナツとアサコの出会いのシーンで、アサコが落としたコンタクトをナツが舐めてきれいにする・・・ってむしろ雑菌増えるからね!またアサコがLANDSの女性マネージャーに口移しで水を飲ませるというのも、どういう流れなのか全く不明だ。そもそもおたふく風邪なのに何で風貌が変わらないんだ。数えだすときりがない。
また、全般的に若気の至りで書いちゃったような恥ずかしいセリフが多いのにも辟易した。特に、ユキヤ(高良健吾)がアサコを海に連れ出すエピソードでのセリフは、どこの不思議ちゃん(しかもオリジナリティがない)かと。言わされている高良がかわいそうになるくらいだ。そもそもこのエピソード自体があまり必要とは思えず、ユキヤの行動も唐突。登場人物の行動の筋道が、ちゃんと考えられていないところが多い。
映画としては正直きつい代物だが、小林武史の実体験に基づいているんじゃないかという部分が散見されるのは面白い。レコーディングの際、メーカー側のディレクターがやたらいばっていたり(そしてセンス古かったり)、不本意でも売れ線狙いのアレンジをしなくちゃならなかったり、その曲がうっかりヒットしちゃったり、しかし2匹目のドジョウはいなかったり。お約束的ではあるが、それが逆に生々しい。また、前述したとおりナツに対しては一貫して「顔はいいけど才能ない人」という扱い、LANDSは「良い線いったけどこのままだと消える」扱いなところは、小林は多分、こういうタイプの人、バンドを山ほど見てきたんだろうなと思わせるものがあった。
少女マンガ的雰囲気とチャラさの中に小林武史の怨念が垣間見える、怪作といえば怪作。でも今後は音楽に専念してください。お願い。