原作はノンフィクションであって小説ではないのだが、確かに物語化したら面白いだろうなとは思った。監督は森田芳光。江戸時後期の加賀藩。幕府の会計部署である御算用者として、代々仕えてえてきた猪山家。特に八代目・直行(堺雅人)は、そろばん馬鹿といわれるほど算術が得意でその腕をかわれて出世する。しかし出世するにつれ出費もかさむ武家社会で、猪山家の家計は火の車だった。家計の状態に気付いた直行は借金返済の為に家財を売り払い倹約生活を開始する。
不況のこのご時世にぴったりの題材なのだが、肝心の家計簿が出てくるまでに結構時間がかかる。当時の時代背景や御算用者の仕事の様子などを説明していくためなので仕方ないかなとは思う。御算用者の勤める部屋が、まさに会社の会計部署という趣で面白かった。ちゃんとお茶配ったり、墨をひたすらする係の人がいたりするのだ。物語そのものは、元がノンフィクション(猪山家の家計簿の解説)ということもあるが、それほどめりはりがあるものではないのだが、料理や食事の風景(朝夕の食事や弁当)など、生活感が感じられる部分は魅力があった。
直行は、武士としての体面を捨てても借金返済という実利をとる、世間の目を気にしない合理的な面を持った人。しかし同時に、武士として藩に仕えるという役割を捨てることはできず、時代には乗り遅れる。個人の性格もあるのだろうが、時代が変わっていく狭間に生きた人の、時代を先取りしていた部分と保守的な部分が同居している感じが面白い。彼の息子は更に時代にのっていき、父親にもどかしさを覚えたりもする。このへんのギャップは、普遍的な父子の物語的だった。
ところで、本作のように2世代にわたる物語だと、登場人物は当然年齢を重ねていく。同じ俳優が若い頃から晩年まで演じる場合、老けメイクをすることが多いが、老けメイクって難しいなー。途中で俳優変える方がいい場合もあるのではないかと思った。人にもよるのだろうが、堺雅人はあんまり老けメイクがしっくりこないみたいだ。妻役の仲間由紀恵は、同じように年齢を重ねる設定なのに殆ど老けメイクしていない。それなのに仲間の方が何かしっくりくるのが不思議。彼女の、ちょっと現実離れした雰囲気のせいもあるのだろうが、下手に老けメイクするよりもいい。
不況のこのご時世にぴったりの題材なのだが、肝心の家計簿が出てくるまでに結構時間がかかる。当時の時代背景や御算用者の仕事の様子などを説明していくためなので仕方ないかなとは思う。御算用者の勤める部屋が、まさに会社の会計部署という趣で面白かった。ちゃんとお茶配ったり、墨をひたすらする係の人がいたりするのだ。物語そのものは、元がノンフィクション(猪山家の家計簿の解説)ということもあるが、それほどめりはりがあるものではないのだが、料理や食事の風景(朝夕の食事や弁当)など、生活感が感じられる部分は魅力があった。
直行は、武士としての体面を捨てても借金返済という実利をとる、世間の目を気にしない合理的な面を持った人。しかし同時に、武士として藩に仕えるという役割を捨てることはできず、時代には乗り遅れる。個人の性格もあるのだろうが、時代が変わっていく狭間に生きた人の、時代を先取りしていた部分と保守的な部分が同居している感じが面白い。彼の息子は更に時代にのっていき、父親にもどかしさを覚えたりもする。このへんのギャップは、普遍的な父子の物語的だった。
ところで、本作のように2世代にわたる物語だと、登場人物は当然年齢を重ねていく。同じ俳優が若い頃から晩年まで演じる場合、老けメイクをすることが多いが、老けメイクって難しいなー。途中で俳優変える方がいい場合もあるのではないかと思った。人にもよるのだろうが、堺雅人はあんまり老けメイクがしっくりこないみたいだ。妻役の仲間由紀恵は、同じように年齢を重ねる設定なのに殆ど老けメイクしていない。それなのに仲間の方が何かしっくりくるのが不思議。彼女の、ちょっと現実離れした雰囲気のせいもあるのだろうが、下手に老けメイクするよりもいい。